東京都内での大規模停電の発生原因は?地下ケーブルの火災は防げなかったのか?

12日に、東京都内の約58万6千戸に影響が出た大規模停電で、原因は埼玉県新座市の
送電用地下ケーブルの経時劣化による漏電ではないかと見られている。
保守点検でケーブル経時劣化をなぜ防げなかったかを見てゆきましょう。

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東京都内での大規模停電の発生原因は?地下ケーブルの火災は防げなかったのか?

燃えたケーブルはOF ケーブルと呼ばれる35年前に設置された古いケーブルであり、
目視や打音検査などで年1回点検しているが、今年6月15日に行った直近の点検で異常は確認できなかったという。

このOF ケーブルの構造は電流が流れる金属製の「導体」に外皮部分として幾層もの「絶縁紙」を巻き付けたもので、
ケーブルの中央には「油通路」が通り、絶縁紙に油が染み出すことで、
電流が外に漏れるのを防いでいる。

だが、何らかの原因で絶縁紙にヒビのようなものが入り、
電流が外皮部分に穴を開け、火花が飛び引火した可能性があるという。

東電は「一律に(ケーブルの)寿命を定めておらず、
必要に応じて修理や取り換えをしている」と説明し、
「敷設から35年たっているので、火災との因果関係を調査したい」としている。

東電によれば、昨年末時点で東電管内にある送電線計8809kmのうち、
旧式は約2割の1542km。平均経過年数は38〜39年で、35年以上が経過したものは1008kmに上るという。
耐用年数は決まっておらず、劣化が見つかったOFケーブルから、
油を使用しないポリエチレン製の絶縁体で導体を巻いた新式ケーブル(CVケーブル)へ交換するそうである。

旧式OF ケーブルの約半数が都心部に集中しており、置き換えには
送電の一時停止が必要で迂回(うかい)ルートがないと作業できない。
担当者は「都心の地下は高速道路や地下鉄、水道管などが過密しており、
残された空間が少ない」と説明し、難燃性のシートで覆うことで防災対策を進めていた。

専門家によれば、「通常の耐用年数は30年くらい。高度成長期に設置したケーブルの老朽化が全国的に進んでいる。
ケーブルの老朽化が全国的に進んでいる。古いものは再敷設や新式に変えるべきだ」と指摘。
防止策として「コスト面もあり根本解決は難しい。こまめな保守点検が欠かせない」ということだ。

なお、この種のケーブルをめぐっては2009年12月、北九州市でも送電線火災が発生している。
九州電力がまとめた報告書では、絶縁紙の劣化で油が漏れ、
爆発につながった可能性も指摘されていた(現象は全く同じとは言えない)。

旧式OFケーブルを35年取り換えなかったことが一概には悪いとは言えません。
35年経時しても、この保守点検法によれば、安全はほぼ確保できるという
データに基づく技術的判断があれば問題はなかったと思います。

では、今回の事故は予測、予防できなかったのか?
1. 旧式OFケーブルから、CVケーブルへの置き換えが行えなかったのか?
超高圧の電力ケーブルとしては、今回事故を起こした絶縁紙を用いるOFケーブルに対し、
OFケーブルに比べて、より大きな電力を送ることができる架橋ポリエチレンで覆って絶縁したCVケーブルに
置き換えられつつあり、現在は、工事や保守が容易なことからCVケーブルが多く使われているということで、
実施に費用や、作業空間の狭さなど困難が伴うにしても、これへの速やかな交換ができなかったのか?

2. 保守点検が年に1回のケーブルについては目視や打音検査などで十分だったのか?
目視や打音検査というと2012年12月2日に起こった中央自動車道笹子トンネルで
天井板のコンクリート板が落下し、走行中の車複数台が巻き込まれて9名が死亡した事故を思い出させる。
この時も、天井板を固定する金属ボルトの異常を検知する打音検査については
「目視で異常を確認した場合」にのみ実施する運用としていたことが問題となった。
天井板のコンクリートのような、構造的な部分の保守なので、この検査法で良いかも知れないが、
高圧ケーブルに対し、外観や、音でその劣化を見分けるのに十分なのだろうか?

OFケーブルの劣化現象については、2014年7月に、以下のSEIテクニカルレビュー・第185 号に、
㈱ジェイ・パワーシステムズの電力事業部技術者による論文が掲載されており、
東電の担当技術者は当然熟知していたことと思われる(関連技術者がそれほど多いとも思えない技術分野)。

OF ケーブルの絶縁体劣化現象の解明 2014年7月
http://www.sei.co.jp/technology/tr/bn185/pdf/sei10820.pdf

これによれば、
高度経済成長期に大量に導入された地中送電設備は運転開始から三〜四十年を迎えるものが多くなり、
今後は経年劣化に対する点検や診断、状態監視などの保守技術が不可欠である。
特にOFケーブルの劣化は非常に緩やかであると考えられてきたが、
近年、経年OFケーブル線路における絶縁破壊事例が確認されている。

劣化の実態調査として、絶縁紙の炭化現象など OFケーブルの部分放電劣化(局所的な絶縁破壊現象による劣化)を
示唆する事象が確認されたとし、モデル実験により、その原因を推定している。

経年撤去品の解体調査の結果、ケーブルコア挙動や絶縁紙の炭化、紙巻きギャップ乱れなどの劣化の兆候が確認された。
絶縁紙の炭化が進行しているケースもあり、初期状態から絶縁性能が低下している可能性も考えられる。

結論として、異常の発生している設備を把握することを目的に、
現在でも送電設備において油中ガス分析などは実施されているが、
X線調査によるコアずれ診断や部分放電測定などの診断を組合せ、
保守管理するとともに、計画的な更新も必要と考えられると結論している。

「撤去品調査データ等をご提供頂いた関西電力㈱の関係者の皆様に深く感謝申し上げます」との
謝辞からすると、関西電力の協力を得て、行った実験のようである。

関西電力は、保守に油中ガス分析などを実施しているように読み取れる。
論文は、油中ガス分析だけでも十分でなく、X線調査によるコアずれ診断や
部分放電測定などの診断を組合せが必要だとしている。

これについて、担当技術者はどのように判断したのであろうか?
または、なんらかの提案をしたものの、上層部に受けいれてもらえなかったのであろうか?

東京都内での大規模停電で地下ケーブルの火災についての日本の反応を見ましょう。

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東京都内での大規模停電の原因に関する日本の反応

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福島原発関係の汚染水漏れ、炉心溶融の公表遅れなど、
これまで、東電広瀬社長の、頭を下げるニュースに何度接していたことか。
東電の過去からの問題についても、責任を追及されてきて、同情すべき点もあるとは思いますが、
技術者を含めた企業の体質を変えないと、今後も、似たような問題が起こるのではと危惧します。

なお、比較的短時間で復旧したのは、2006年8月に起きたクレーン船の接触により、
停電の復旧まで3時間かかった事故を教訓に、代替ルートの確保が奏を功したためであるとのことで、
今回の事故の対応については、大いに褒められるべき点もあったと思います。

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